ネッテラーは、かつて日本のオンラインカジノプレイヤーの送金サービスを一手に担っていたと言っても過言ではない電子ウォレットサービスです。
今でこそオンラインカジノはスマートフォンからでも気軽に楽しめるコンテンツとなっています。
まだスマートフォン登場前、まだまだオンラインカジノが一部のインターネットユーザーだけのものであった時代、貴重な送金サービス可能な業者として、国内におけるオンラインカジノの普及に寄与したと言っても過言ではない業者なのですが、2016年9月、ネッテラーは日本市場から撤退しました。
その後、2018年の11月に再上陸するものの、オンラインカジノ事業には手を付けず、あくまでも送金サービス業者としてのものでした。
(ちなみに2020年再度撤退)
そんなネッテラーですが、実は撤退した理由が分かっていません。
様々な推測があるのですが、あくまでも推測であって、ネッテラーサイドから公に撤退理由が語られたことはありません。
そこで、なぜネッテラーが日本市場から撤退したのか、周辺事情からいくつか囁かれている理由を挙げてみました。
クレジットカード会社からの圧力
オンラインカジノユーザーの間では2つほど有力視されている撤退理由がありますが、その一つがこちらです。
電子ウォレットという事業は、それまでの旧態依然とした技術を駆使する会社にとっては「未知の業者」です。
新しい技術をひっさげ、それまで営業していた業者の「庭」を荒らすかのような存在です。
そこで、日本の信販会社・クレジットカード会社が圧力をかけたという説です。
もちろんあくまでも憶測ではありますが、信販会社やクレジットカード発行会社にとって、2016年はスマートフォン市場の拡大と共に、様々な産業がスマートフォンに集約され始めた時期です。
さらに、電子ウォレットとスマートフォンの相性は抜群です。
近年、国内でもようやくキャッシュレス決済が注目を集めるようになりましたが、ネッテラーはオンラインカジノ業者ではなく、電子ウォレット業者ということで、信販会社やクレジットカード会社にとっては「驚異の存在」であったことは容易に想像できます。
そして、日本の国内産業の構図を見ると分かるように、新規参入事業者に対して既存業者が圧力をかけることは珍しくありません。
例えば欧米で流行したUber。国内では「Uber Eats」として、飲食宅配斡旋業となりましたが、Uberは欧米ではタクシー手配のアプリでした。
そのままの形態で日本に上陸したらタクシー産業そのものが破壊されかねないということで、業界団体はUberに対して強烈な「NO」を突き付けました。
ただ単にUberに圧力をかけるだけではなく、行政等にも働きかけることで、Uberは本来のタクシー配車ではなく、飲食宅配者斡旋業に落ち着きました。
このように、「先駆者による圧力」によって日本市場撤退を余儀なくされたのではないかとの声は根強いです。
危険を察知しての撤退
圧力説以上に根強い説として囁かれているのがこちらです。
オンラインカジノの法的解釈が不鮮明であった日本。
国内法に関して言えばギャンブルは公営ギャンブル(競馬・競艇、宝くじ)以外は明確に違法とされており、パチンコに関しては三点交換方式という、いわば脱法的な形によって営業されている状態です。
ではオンラインカジノはというと、そもそもオンラインカジノは国内の業者ではなく、海外の業者による営業です。
ましてや海外の業者がカジノが合法である海外のサーバーにて運営している以上なんら法に問われるものではないのですが日本の法律とのギャップにより、果たしてオンラインカジノは安全なのかという議論は常に囁かれていました。
そのような状況から、「もしかしたら」という危機を察知し、リスクヘッジとして日本から撤退したのではないかとの説もあります。
もしもですが、ネッテラー社に日本の警察当局から何らかのアクションがあれば、例え何ら問題ないとしても企業イメージに傷がついてしまいます。
ましてやネッテラーは電子ウォレット業者。
金銭を取り扱う業者である以上、信用・信頼はとても大切なので、イメージの悪化を恐れて撤退したのではないかとの説があります。
こちらももちろんあくまでも仮説ではありますが、日本国内ではその後特に動きがなく、ネッテラーに代わってアイウォレットやエコペイズが台頭した事実を踏まえると、ネッテラーの決断は「勇み足」といわざるを得ないものでした。
まとめ
2つの説について解説しました。
もちろん両論ともあくまでも仮説です。
日本市場撤退について、ネッテラーが正式にパブリックコメントを出したわけではないので状況等を踏まえての考察でしかありません。
しかし、皮肉なことにネッテラーが撤退して以降、スマートフォンの普及に比例するかのようにオンラインカジノは多くのユーザーを獲得し、人気コンテンツとして成長していったのです。